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絶望を受け入れた少女 -『死神を食べた少女』

備忘録第9弾。

今回感想を書いていくのは『死神を食べた少女』。とあるオススメ記事に紹介されていたこのとにかく魅力的なタイトルに惹かれて読み始めた。なろうで本格的な戦記モノを読むのは初めてで、次々と出てくる地名や人名に混乱しそうになりながらも、あまりの面白さに1日で読み終えてしまった。

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この作品は「死神を食べた少女」シェラが弱小軍に入って過酷な世界を生き抜く物語。硬派な戦記モノのストーリーに対して、大鎌を担いで無双する少女はファンタジーに描かれる。この二つの要素が組み合わさり物語は幻想性を帯びていく。

戦争に負け続け、絶望ひしめく弱小軍にポッと現れた最強の黒髪少女。シェラは軍の中でみるみるうちに台頭していく。そしてこの彼女と兵士たちの関係性が心地いいのだ。兵士たちは彼女を慕い、彼女は兵士たちを大切に思う。

食事シーンなんか本当に好き。とにかく食いしん坊なシェラがかわいらしい。絶望的な状況とのギャップがまたなんともいえない。

戦記モノとしての読み応えも抜群。戦地の地図イラストがサイトにアップされていて、作戦などの設定もよく練られている。あとはやはり戦地でシェラが敵をばんばんなぎ倒していくのも爽快感を得てしまう。

物語の終わりは救いの残るどちらかというとハッピーエンド寄りな感じであった。それはそれで良い終わり方だと思うのだけど、やはり撤退戦を描く物語であるのだし全滅バッドエンドも見てみたい気はした。戦争相手が悪者というわけでもないのだし、いやむしろこの世界の世間的にはシェラ側が悪者になっている訳だが。このあたりの善悪だとか正義だかの話も結構興味深かった。


正直不満点が何一つなかった傑作だった。題材に興味があれば是非どうぞ。

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