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14年の恋慕 -『詰みかけ転生領主の改革』

※ネタバレあります


備忘録第11弾。

今回感想を書いていくのは『詰みかけ転生領主の改革』。
タイトルに惹かれて手に取った。領主としての改革を目当てで読み始めたのだが、記事名の通り、この作品にはもう一つの軸があった。
『身の回りの問題を解決するべく奮闘する話』に加えての『主人公とヒロインが結ばれるまでの14年間の過程の話』。これが本当に素晴らしかった。

こういう恋愛は過程こそが面白いのですよね。四畳半神話体系でも『成就した恋ほど、語るに値しないものはない』と言っている。

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物語の枠組みは軒並みテンプレートに則っている。異世界転生した主人公が前世の知識を総動員して2歳のうちから領地を改革していく。レビュー感想などで「2歳の主人公への違和感」が言及されていたが、確かにかなり変な感じはする。しかし、こういうところは「なろうファンタジーだし」と気にせず読み進めるが吉だと思う。すぐ成長しちゃいますし。

やはり作中の時間の流れが速い作品は面白いモノが多い気がする。テンポ良い展開は良いものだ。全体的に経済をテーマにした話が多いイメージ。こういう話はやはり読んでいて面白い。色々な人物にスポットがあたる物語の構成も良い。

そして物語中の至る所に散りばめられた主人公とメインヒロインである獣人のサニアの関係性が本当に『絶妙』で。プロポーズ前の伏線回収には本当に痺れた。

 「かれこれ、十四年前に、サニアにもらった貝殻だ」

作者の思惑には脱帽するばかりだ。物語が美しすぎる。
作品としての芯がしっかりしていて、勿論それぞれの章のストーリーも面白かったが、特筆すべきは物語の構成力だろう。色々なものが積み重なって、そしてラストシーンに途方もない感動が生まれるのだ。


一気読み推奨です。是非。

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