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愛がもたらすモノ -『インスタント・メサイア』

※ネタバレ注意


備忘録第18弾。


今回紹介するのは『インスタント・メサイア』という作品。
これもまたかなり歪んだ作品だ。ここ最近はそんな物語ばかり読んでいる気がする。そろそろ王道テンプレ小説に回帰したらかなり楽しめて読めるのではなかろうか...。

ということで色々と書いていこうと思うのだが、今回の記事構成はいつもと趣向を変えてみることにした。この作品の魅力であるヒロインたちについて一人ずつ色々と書いていく、既読者に向けた記事にしたいと思う。それぞれ印象に残っている一文や台詞を作中から引用してみた。

 

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『それはきっと、とても小さな独占欲の発露。』
―――<28話『発露』より>

 まずは作中屈指のちょろインであったガロンさんから。個人的には序盤の少しずつ主人公ナインに気持ちが揺らいでくるあたりがピークだった感がある。マーキングした服を渡した以降、ママだとかお母さんだとか言い出した処から落ち目な印象。

図々しくて出しゃばりなガロンさんは嫌いだけど、ディアボロ女性陣との口喧嘩で毎回のように負けてしまう噛ませ犬なガロンさんは好きだ。ずっと正論で言いくるめられてぐぬぬってなっててほしい。


 『アロマさんに、バレちゃうよ?』
―――<37話『顛末』より>

第一の餌食であり、後半ほとんど出番のなかったかわいそうな狐のアリスちゃんについて心に残った台詞がこれだった。本来の主人であるアロマさんから強引に忠誠を奪うという構図。もう少し罪悪感に押しつぶされるような描写も見たかったと思ってしまうのは倒錯しすぎであろうか。陥落後に姉弟として振る舞う様子は中々に狂っていてよかった。
 


 『素敵でした。とても』『…あ、そう』
―――<118話『王妹殿下との日々3』より>

ピュリアさんの最高のワンシーンはやはりここだ。この後の彼女の心理描写が、彼女のどうしようもない程のナインへの懸想が切なすぎる。ただただナインのためにマフラーを編んだり、彼の故郷の子守歌を覚えたり、健気すぎないか。この子こそ正ヒロインに相応しいと思う人は結構いるのではなかろうか。


『貴方達みんなね、ズルい目をするようになったわ。どうやってお互いを出し抜こうか、考えてる感じ』 
―――<60話『出発の日』より>

作中で一番好きな女性キャラであるエルちゃん様。とにかく知略に長けた小悪魔感が最高だった。なにもかもお見通しのようにみえるがその実何も知らなかった彼女は主人公に壊される。幼いところもあれば老成した考えを持っていたり全体的にちぐはぐで脆い。そんな彼女が纏う危険な美しさは主人公を、私たちを狂わせる。


『全てだった。全てを止めてほしかった』 
―――<157話『恐怖』より>

本編ラストで何もかもをかっさらってったメインヒロインの魔王様。ラストシーンの彼女の魅力はとどまることがなかった。完全に主人公の思考回路とリンクしてるあたり作者さんの思惑にまんまと誘導された感がある。なんだかんだこの作品の中で一番純粋なのは彼女なんじゃないか。第2編で彼女がどうなっていくのか楽しみである。


『…ディアボロの椅子にして、パパで旦那で弟、玩具。道化も兼任、おまけに色々』
―――<175話『もう一人の天使』より>

ラストバトルでナインが飛ばしたこの口上はテンション上がった。この主人公がすごい好きなんだ。序盤のピエロを振る舞いながらその実冷静に身の振り方を考えているクールな感じが好きだ。この作品、互いの心理を伺いながら化かし合う会話がすごく上手いですよねえ。

また中盤以降のだんだんと精神が侵食されて狂気に染まっていき余裕がなくなってくるあたりの混沌とした精神状態の主人公も好きだ。いつも丁寧口調を絶やさないナインが口荒い暴言を吐いたりするシーンなんか普段とのギャップでかなり印象に残っている。


以上。ストーリーもほんと面白いので是非。

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