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二転三転する物語 -『蜘蛛ですが、なにか?』

備忘録第4弾。

今回は『蜘蛛ですが、なにか?』の感想をつらつらと書いていこうと思う。
小説を読もうランキングで3冠制覇するなど猛威を振るっていたこの作品。
しかしとことん目を惹くタイトルであると思う。この作品のスコアが伸びたのもこれが遠因してるのだろう。

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主人公が蜘蛛として異世界に転生するところから物語は始まる。
話し方からしてどうやらこの蜘蛛さんは女の子らしい。女主人公の作品はなろうでは初だったので新鮮だ。若干鼻につくような話し方な気はしたが、とくに忌避感は無かった。

彼女は親蜘蛛に食べられそうになるところから間一髪逃亡して、魔物蔓延る洞窟で生き延びるべく様々な策を巡らせていく。しかし「これから君、蜘蛛として生きてくれ」なんてことになってすぐ適応しちゃう主人公、精神がめちゃくちゃ強靭すぎる。まさにオリハルコンメンタル。

そしてなにやらこの異世界にはステータスやスキルなるものが存在しているらしい。なんやかんやあって主人公はどんどん強くなり成り上がっていく。この辺は『転スラ』と被る展開が多かったので正直な話結構目が滑った。

しかし5話毎に1回くらい挟まれるサイドストーリーはかなり面白い。それぞれ異世界の別の場所に転生していた主人公のクラスメイト達の話なのであるが、彼らは特殊なスキルを持っていたり、王族の元に転生したりしている。こういう複数主人公な感じの話はとても好き。


さて、成り上がり続けた主人公はついに洞窟の主である炎龍を討伐。はしゃいでたところに『世界の管理人らしき人物』から連絡が入る。このあたりから蜘蛛パートの面白さが加速していく。この作品は世界観の拡張の仕方が本当にうまい。そして魔王に出会った蜘蛛さんは…。おそらくこのへんまでがプロローグだろう。

そしてここからの話の構成、魅せ方、展開が凄いのだ。
散りばめられた伏線、叙述トリック、ミスリード、交錯する2つのストーリー。
このあたりは是非作品を読んで楽しんでいただきたい。

個人的に一番感心したところはやはり『主人公の正体』だ。
一転二転とまんまと作者さんの術中にはまった。ミスリードに次ぐミスリード。そして真実を知ったとき、表題の真意に気づき思わず唸った。


そしてこの作品の魅力の一つはやはり魅力あふれるキャラクター達だ。一応クラス転移を扱う作品なので結構登場人物は多いのだが、みな個性的で埋もれるキャラクターなどいない。人化した蜘蛛さんはマシンガントークな内面と物静かな外面のギャップがクソ可愛いし、王族兄妹も好きだ。鬼鬼コンビのケンカップル感もほんとすき。

まだ物語の全体像は見えないが、卒なく風呂敷閉じて完結することを切に願う。
商業的意図で無駄な引き延ばしするんはマジでやめてほしい。

わりと長い間エタってたけど、最近更新再開したみたいで良かった。完結したらまた一から読もう。

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