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海外のベストレビューを翻訳する -『Charlotte』(酷評注意)

各アニメの海外で最も支持されているレビューを翻訳する。
原文はコチラ。(MyAnimeListより)

 今回は酷評レビューとなっております。作品ファンの方はご注意を。


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Sep 26, 2015
13 of 13 episodes seen
Overall Rating: 3
577 people found this review helpful


** このレビューはネタバレを含まない **

以下の設定は諸君らにも馴染み深いものだと思う。
一般人から隔離され、また悲劇的な過去を持つ『特別』な高校生たちが集って組織を作る。彼らは最初は仲良くしないが、時間の経過とともにお互いを知り親密になっていき、最終的には恋仲に至ったりする。世界は彼らに残酷で、彼らの身に降りかかる悲劇は無慈悲で、同情してしまうようなものである。彼らは自身の運命を果たすために犠牲を受け入れねばならない。

あなたはこの設定を聞いて『Angel Beats!』を思い浮かべるかもしれないが、一方それは『Charlotte』だと思う人もいるだろう。それらはどちらも正しい。物語の指向性は双方ほぼ同じであるのだから。

しかし私は『Charlotte』に『Angel Beats!』と似た設定があるということで、この作品を批判するつもりはない。ここで私が是非に物申したいことは、この作品が『Angel Beats!』が孕んでいた問題をもそのまま受け継いでしまったこと、さらにそれを大幅に悪化させてしまったことにある(ご存じだろうが、この2作品の原作者は同一人物である)。ストーリーの矛盾、甚だしいご都合展開、脆弱な世界観、アイデンティティが混乱している登場人物、ああ、これが『Charlotte』だ。

ではこの作品にある最大の問題要素であろうキャラクターから始めていこう。彼らは浅く、一元的で、人格に欠いていると言わざるを得ない。主人公を例に挙げると、彼は最初のエピソードで個性溢れるキャラクターとして説明される。知的で、傲慢で、悪質な人間として描かれている彼の性格は、人間的な成長の可能性を大いに含んでいるものであった。しかし第1話のEDが終わった瞬間、積み上げられた彼のキャラクター像は綺麗さっぱり忘れ去られたようだった。その後も個性豊かだった頃の彼の面影は消え去ってしまい、彼はまるで Otonashi *1のようになってしまった。無個性で、どこにでもいるありきたりな主人公のように。

Charlotte 感想


またこのアニメの『ロマンス要素』がどれだけ恐ろしいかを話していこうと思う。主人公が想いを寄せる Nao というヒロインがいる。しかし本編において彼らの交流は些か不足しがちであり、共に少しずつ愛を育んでいく描写は無く、突然私達は彼らが愛し合っていることを告げられるのだ。いやいやいや、それは何か違うのではないか。彼らはどんな互いの仲を発展させるような出来事を共有しただろうか。私は Nao がモブキャラに暴力的に殴られているのを目撃した主人公が、何もせずそこを立ち去ったシーンさえ思い出すことができる。告白シーンも唐突なものであり、他の登場人物も「彼女がそんな想いを抱いていたとは全く思わなかった」と感じたようで、どこか驚いて混乱している様子をしていた。言わずもがな、私も同じような思いを抱いた。

ストーリーについてはツッコミどころが多すぎるので簡易的に述べる。この作品はストーリーを作る際の禁忌である『Deus ex machina *2』『plotholes *3』『asspulls *4』『you name it *5』の全てを犯している。

第2の問題は非常に一貫性の無い雰囲気だ。コメディと悲劇がごちゃ混ぜになっており、それは私達を混乱させる。これは最近のアニメ作品全体に浸透している問題であるが、もしシリアスでドラマチックなシーンを真剣に撮りたいならば、子供染みたコメディを先行させるのを即刻止めるべきである。それは人が死ぬシーンにさえ影響を残してしまう。この忌むべき様式はアニメから消える必要がある。

最後に私が述べたいのは、ラストのとんでもない急展開についてだ。あなたは第13話を見るだけで、その恐ろしさを理解することができる。真剣にこのような行いを反面教師にして、彼らはこの過ちを繰り返さないようにする必要があるだろう。私はこれまでに出来るだけ『Angel Beats!』に言及しないように進行してきたが、上述したような問題はそのまま『Angel Beats!』にも含まれていて、この数年間で脚本家の能力が全く変わることがなかったのは明白である。

結論として『Charlotte』は『Angel Beats!』の悪いところだけをより強化した作品であった。あなたがこの作品を見るとき、それは良きにしろ悪きにしろ驚きに溢れることだろう。ただ作画と音楽は素晴らしいので、ストーリーをあまり気にしない人は見てみるといいかもしれない。

Charlotte 感想




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*1:Angel Beatsの主人公

*2:いわゆる「どんでん返し」に分類される手法。物語の流れ上、脈絡の薄い存在が突如現れ、これまでの混乱を強制的に決めて終結させてしまう筋書きをいう。物語を意外な結末に向ける手法であるが、伏線が小さくやや強引な場合も多いため、あまり良い技法ではないとされる。

*3:ストーリー上にある矛盾点

*4:作者に都合のいいように急遽でっち上げられたご都合主義的展開・設定のこと

*5:なんでもできる主人公